人生七十年以上も生きてきますと、色んな夫婦や家族の
実態が何かやと否応無しに目に入ってきます。
私の同級生や知人、結婚披露宴に出席したり、友人とし
て挨拶したりした人たち、、、。その晴れがましいスー
テージではみんな同じようにハッピーで、希望に溢れて、
神様の前で永遠の誓いを立てます。
しかしそれから十年二十年も経ちますと、はっきりと明暗
が分かれてきます。
ある著名な作家が来賓挨拶のマイクの前で、たった一言、
「十年たったら、その時におめでとうを言います。今日は
まだいう気になれません」。
著名な作家だからこそ許される辛辣極まるスピーチですね。
でも全く彼の言う通りで、結婚はゴールではなくスタート
ということを彼は言いたかったのでしょう。
万全を期したつもりでも、何が起こるかわからないのが
結婚生活、いや人生というものかなと思います。
ある友達は事業に失敗し、金の切れ目が縁の切れ目とばか
りに奥さんは子どもを連れて家を出て行きました。
全盛期には意気軒昂で奥さんも満足そうでしたが、手のひ
らを返したように前からの赤の他人のようになってしま
いました。
そんなあからさまな現実を見せつけられると、改めて一体
結婚って、家族って何だったんだろうと頭を抱えたくなり
ます。
家族が逃げるくらいだから友人知人に兄弟も潮引くように
周りから姿を消します。
まあ。それが浮世だといってしまえばそれまでですが、、。
妻が、夫がギャンブル狂になって借金まみれになって、
という話ならそこらへんに山ほど転がっています。
僕の友人も奥さんがパチンコに狂って高利の借金を抱え
てしまったのを、一回目は銀行の融資で切り抜けました。
でもそれでもやまらないのでとうとう離婚を決心しました。
小さな子どもが三人あったのでさぞや悔しかったでしょう。
でも、彼は子どものために気を取り直して、前にも増して
エネルギッシュに働いています。
むつみ会の会員さんにも、かっての妻と夫がギャンブルに
はまって離婚した後、五年も六年もかかって借金を完済し
ようやく身軽になって入会された方がありました。
偶然にもそういう体験を共有している男性と女性がむつみ
会で出会って再婚されたケースが一度だけあります。
どちらも一文無しの状態ですが、ゼロからの再出発という
ことでお互いに励ましあって健気に結婚生活を送っておら
れます。なんだか嬉しくなってくるお話です。
`
さてこういうテーマになると、どうしても触れたくなるの
が有名な俳優さん同士のエピソードです。
認知症になった元女優の妻を献身的に看病する俳優の夫。
妻の名(芸名)は南田洋子、夫の名は長門裕之。
もうふたりとも鬼籍です。妻の死後、後を追うように夫
も逝きました。
おしどり夫婦有名人の老々介護と、プライバシーをさらけ
出した勇気ある「美談」、、、?
しかし、全国の女性たちから異議申し立ての声がわき起こ
りました。
そりゃそうです、長門って亭主は女好きで有名でした。
浮いた話には事欠きませんでしたが、それも役者の肥やし
とばかり妻は責めなかったのです。
もちろん、そんな役者ならではの特殊事情は一般女性には
理解できるはずもありません。
くわえて、長門の父親の看護を十五年にもわたって、やっ
たのか、やらされたのか、実子である長門はお任せで、
相変わらず遊びまわっていたらしいのです。
いずれにしろ女優としてのキャリアは家庭に閉じ込められて
しまいました。
亭主より俳優としての格は上だったし、諦めか後悔かそ
れとも・・・彼女としては穏やかな心境ではなかったは
ずです。最後に、老いて病んだ元花形女優の姿をあえて世間
の目に曝した。僕も南田洋子ファンの一人として、あの姿
を見るのは忍びなかったのを憶えています。
そのことには思い至らなかったのか?
迷いや躊躇いはなかったんだろうか?
相手の気持ちになって考えたことは
あったのか、なかったのか?
`
ある女性が、夫婦なんていいこと悪いこと”まるごと愛せない”
と破綻するしかない、という感想を寄せられました。そのひ
と言かなって気もします。
多分亭主の長門には”愛妻”の心の内はみえてなかった。TVの
画面からも、甘やかされた男の自分勝手さが透けて見える
ような気がしました。
女性たちの過激な一般論は、長門の心のうちはよくのぞいて
いるが、あえていわせてもらえば、彼女たちにも肝心の南
田洋子の心境は見えてなかったと思います。
見えていないという意味では長門と同類です。
元ファンの一人として確信しますが、あの麗しき女性は、
夫をまるごと愛していた。
良いも悪いも関係なく、綺麗事でない愛し方で。それだけ
は間違いない。
だから、まるごと愛された幸せすぎる亭主は”完敗”だった
のです。そしていくつもの周回遅れで、夫は老い衰え、逝っ
てしまった、妻の後を追って・・・。
こんな愛し方、あんな愛し方でなきゃだめと決めつけるの
もあなたなら、こんな愛し方、あんな愛し方でもいいと大
きく受け止めれるのもあなたなのだと僕は思います。
(続く)
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