日本の結婚と結婚相談・高度経済成長期・２

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日本の結婚と結婚相談・高度経済成長期・２

2022.10.19
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日本の結婚と結婚相談・高度経済成長期・２

高度経済成長時代とは、今日よりも明日、今年よりも来年
はもっと豊かに、そして多分幸せになるだろうという夢に
溢れた時代のことでした。
今年の夢が十年後には現実になる、そのために今日を一生
懸命に働いて学ぶと言う時代のことでした。
ラテン系の人たちはそういう時、今を精一杯エンジョイし
ようとしますが、日本人の悲しい性と言いますか、明日の
ために今日を犠牲にしてかえりみようとしません。
ちょっと昔に、キンさんギンさんという100歳になる双子の
おばあさんがいました。高齢化社会の象徴的存在として一
躍有名になりまして、思いもかけない大金が転がり込んで
きました。あるテレビ番組で司会者が「そのお金はどんな
ことに使いますか？」と尋ねますと、こう答えました。
「老後のためにとっておきます」。
こういう感覚が多分日本の奇跡の経済成長の原動力になっ
たのでしょう。そうやって先のこと先のことを考えるとい
うか、心配するというか、そんな苦労性が結婚相談の現場
にも、もろに出てきたのはいうまでもありません。
そして実際にその通りになっていきました。給料は増え続け、
住まいは６畳一間が二間になり一軒家になり、あちらこち
らにビルが立ち並び、その谷間を洪水のように自動車が駆
け抜けていきます。
そうなってきますと、人々の価値観や意識も大きく変わっ
ていきます。企業という企業が年々成長し、瞬く間に世界
でも有名な大企業になっていきます。それはもう恐ろしいく
らいでした。ソニーとかナショナルとかトヨタとか数え立
てればきりがないくらいです。
当然人々もそんな少しでも有望な会社に入ろうとするよう
になります。地元の会社より関東や関西の方に目が向きます。
今は学校の先生になるのは狭き門ですが、その頃は”デモシ
カ”教師（失礼）などと言って、大企業に入れなかった学生
が、教師に”デモ”なるか、教師に”シカ”なれない、なんてち
ょっと誇大した表現になりますが、今と比べれば随分広き
門だったのは事実です。
そうやってみんなが皆民間のサラリーマンを目指し、みん
ながサラリーマンになると、いきおい大家族は解体し、核
家族ばかりになっていきます。
できるだけいい会社に入ることは、それがそのまま一生の
社会的ステータスになりますから、そのためにみんなが少
しでも進学率の高い高校から、就職実績の高い大学に入ろ
うとします。
そういう風にして世の中は極端な高学歴社会になり、そんな
コースから外れてしまった人はどうなるか、何て説明するま
でもないでしょう。
もちろん結婚相談の場でもそういう風潮が反映してきます。
それが”三高（さんたか）”です。結婚相手の条件の三つの頭
文字ですね。
高学歴（大卒または院卒、できれば一流大学卒）＋高収入
（年収一千万円以上）＋高身長（180センチ以上）。
まあ、女性が真剣に結婚相手を選ぶ気持ちはわからないで
はないですが、そういう結婚の条件に適う男性がそれくら
いいるか、それが問題なのです。
頭の中でざっと考えるくらいではわからないかもしれませ
んが、コンピューターにインプットしたデータを検索する
と、実に冷酷な数字として出てきます。つまり何人に一人
の確率か、ということですね。
むつみ会結婚相談室では四十年前にいち早くコンピューター
を導入しました。ウインドウズ系が出る前の沖電気の馬鹿
でかいだけで機能も容量も比較にならないというより、ま
るっきり別のメカの様な原始的なやつです。
当時郵政のドンと言われた守住有信参議がそれを見て、後
三十年もすれば、こんなパソコンはポケットに入れて持ち
歩く様になるよと言われたのを思い出します。
その時は「まさか」と思いましたが、それどころではなか
ったですよね。動画も撮れるし、Gバイトの世界がありま
した。
そんな原始的なパソコンでも結婚相談の会員さんの３千人
程度の文字データなら入ります。それで結婚相談の男性会
員のうち”三高（さんたか）”に該当する対象者を検索し
てみると、千人に一人もいなかったわけです。そんな男性
を希望する女性の結婚相談会員さんの人数を掛け合わせ
てみると、、、、。
実にアンリアルなクールな数字がはじき出されました。
まあ、パソコンはファジーな要素を全て排除してしまいま
すから仕方のないことですが、もしコンピューターがなか
ったならば、そんな厳然たる現実もはっきりしなかったわ
けです。
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