職場恋愛から結婚結婚というケースが多かったのもこの頃
でした。もっとも男女雇用機会均等法ができるまでは、一流
大学を卒業した女性でもなかなか正社員にはなれず、臨時採用
というのが多かったので、職場は女性の婚活の場にもなってい
たのでした。
ですからめでたく結婚が決まったら寿退社といって、円満退職
か馘首かは知りませんが、キャリアを諦めて家庭に収まるケー
スがほとんどでした。まだそういう男性優位の風潮が色濃く
残っていたのです。
結婚後は夫は外で働き、妻は家庭の中で主婦業に専念すると
いう分業結婚生活が世の中の常識だったのです。
僕たちの頃から男女共学でした。小学校から中学校、私立は
あまりなく、地元の進学校として有名な中学校も公立でした。
そんな公立の中学校には校区内の小学校卒業性はもちろん、
入学はできないはずの校区外からの入学もありました。寄留
入学と言って、その中学の校区内にある親戚とか知人の家に
住所だけを移して、という隠し技です。
それはそうと、兎にも角にも団塊の世代で中学生も溢れる
ようにいるわけで、僕の通った地元の中学校は、一クラスが
60人位いて（教室にすし詰め状態です）そんなクラスが16ク
ラスもありました。一学年の人数が860くらいいましたから、
とても全部の顔を覚えれるなんてできない相談です。
また人数が多いとその分競争も激しくなる理屈で、定期試験
があると掲示板に１番から860番までの成績が貼り出されま
した。
何かそうやって競争心を煽るという狙いが学校側にはあった
のでしょう。これは生徒のためのつもりでしょうが、それ以
上に学校自体のためであったような気がします。
成績優秀者が増えて進学高校への入学者数が増えた分だけ、
学校そのものの評価が上がり、それを支えた教師たちの手柄
となるからです。
でも、成績が下から数えた方が速い生徒はたまったもんじゃ
ありませんね。その反面で成績が10番内ということにでもな
るとちょっとした学内の有名人になるのです。
そうやってデキる生徒のためだけの教育の場となっていきま
す。こういうのもいきすぎると弊害が大きくなりすぎるよう
な気がします。
学校の成績がすべてというのは教育というものの本来の姿か
ら離れて、凄く歪なものに化けていくような気がします。
どうもそれがその後の極端な学歴社会、いい高校からいい
大学に入れば、いい会社に入れて、一生安泰な暮らしができ
るという神話を作っていったような気がするのです。
当然ながら結婚の相手だって学歴で選び選ばれるようにもな
ります。どこどこの高校卒で大学卒ということがそのまま
結婚や婚活の指標になり、結婚相談の場でも重要なステー
タスになってしまうのはどうなのかなと思うことがしばしば
ありました。
むつみ会結婚相談所でも、そんな、人間を一刀両断するよう
な風潮に矛盾を感じながらお世話をせざるをえなかったよ
うです。
むつみ会結婚相談所がスタートしてから10年後くらいに、首
都圏を中心に財閥系の全国組織の結婚相談所の企業が出来
始めましたが、その点を見事に割り切った経営方針だったの
で、びっくりしたというよりかなりあきれたなと感じがし
ました。
結婚という問題を純粋のビジネスに置き換えるとこういう
形になるのかなと首をひねらざるをえませんでした。
何しろ財閥系のエリート社員（当然みんな一流大学卒です）
のリストをずらりと並べ、それを結婚の呼び水にするとい
うか、餌にして魚を釣るようなやり方に見えたものでした。
結婚相談の入会希望者は全部女性で、女性側からだけ高額の
（何十万円）入会金を徴収するというやり方でした。
それでも女性の入会希望者は殺到しました。正直、なんとも
浅ましい話だなと思いました。
大げさに言えば、ニッポンという国の将来はこんな風でダイ
ジョーブなのかななんて。
結婚というのは言うまでもなく人生の重大事です。そんな即
物的な計算づくで結婚生活やそこから派生してくる家族とか
子供の教育環境とかは一体どういうものになるんだろうと
な、と思いました。

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