結婚相談所で活動する中で、時には家庭の役割について考えることがあります。父親として、男性として、そして一人の人間として、私たちが何を理解し、どう行動するかは重要です。今日は、父親が知っておくべき母親の役割と、それが子供に与える影響について考えてみたいと思います。
目次
出産と母親への思いやり
出産は、母親にとって命がけの出来事です。赤ちゃんを産むことは、単に命を産み出すだけでなく、母親自身の命を削って行われるものです。多くの男性は、この過程を理解することが難しいかもしれませんが、出産後の妻に「働いてないんだから家事くらい…」と言ってしまうことは、決して許されることではありません。
妻は出産による身体的ダメージと寝不足で疲れ切っています。そのうえ、命をかけて自分の体を犠牲にし、愛おしい赤ちゃんのために必死に頑張っています。父親として、または男性として、妻への思いやりが欠けていると、家庭に不和を生む原因になります。
母親と胎児の深い繋がり
吉本隆明氏は、母親と胎児の関係について次のように述べています。
「母親と胎児との関係は、いわば人間の絶対的な認識と感性の起源となる重要な時期である」
少し難しい表現かもしれませんが、簡単に言うと、子供の成長や人格は、物心がついた後の教育だけで決まるわけではないということです。実際、胎児期から子供の成長には深い影響があり、母親の精神状態が大きな役割を果たすというのです。
出産前の10ヶ月、母親と胎児の間で交わされる感覚的なコミュニケーションは非常に重要です。胎児は、母親の喜怒哀楽を直接感じ取り、その感情が胎児に影響を与えるのです。
胎児期に決まる心の成長
驚くべきことに、胎児は受胎後1~2ヶ月の段階で、すでに心の萌芽が見られると言われています。この時点では、胎児はエラ呼吸をしており、植物的な心が生まれつつある段階です。胎児は、母親の感情を敏感に感じ取り、その影響を受けて成長します。
この時期に母親がどのような精神的環境にあるかが、子供の成長に大きな影響を与えるのです。言葉が話せるようになる前の胎児の段階で、感情的な繋がりが強く築かれるという点が非常に重要です。
3歳までの記憶とその後の影響
興味深いことに、3歳までの記憶はほとんど残らないと言われていますが、これは記憶が消失するのではなく、心の奥底に隠れていくからです。つまり、幼少期の記憶は、後の人生において見えない「根っこ」のようなものとして作用し、成長に影響を与えます。
この時期に受けた母親からの愛情や教育は、無意識のうちにその子供の人生に大きな影響を及ぼします。
「お母さんは大好きでえす」と答えられる大人になりたい
子供の頃、「お母さんは大好きでえす」と素直に言えることは、非常に大切なことです。しかし、大人になると、「お母さんは大好きでえす」という言葉を「女です」に変えたり、あるいは社会的な枠組みの中で「大人」としての立場を意識しがちです。
私は今72歳ですが、いつまでも「お母さんは大好きでえす」と言い続けたいと思っています。年齢を重ねても、母親への感謝と愛情を持ち続けることこそ、父親として、また人間として大切にすべきことだと感じています。
まとめ:父親としての役割を考える
父親として、男性として、そして一人の人間として、母親の役割や子供への影響を深く理解することは非常に大切です。結婚相談所で活動する中で、家庭の幸せを築くためには、思いやりと共感の心が必要です。母親への尊敬と理解、そして家庭内での協力を大切にし、良い家庭環境を作ることが、最終的には子供たちの幸せにつながります。