認知症になった元女優の妻を献身的に
看病する俳優の夫。
妻の名(芸名)は南田洋子、
夫の名は長門裕之。
もうふたりとも鬼籍だ。
妻の死後、後を追うように
夫も逝った。
おしどり夫婦有名人の老々介護と、
プライバシーをさらけ出した
勇気ある「美談」・・
しかし全国の女性たちから
異議申し立ての声がわき起こった。
そりゃそうだ、
長門って亭主は女好きで有名だった。
浮いた話には事欠かなかったが、
それも役者の肥やしとばかり
妻は責めない。
そんな特殊事情は一般女性は理解
できるはずもない。
くわえ長門の父親の看護を15年
にもわたって
やったのか、やらされたのか、
実子である長門はお任せで、
相変わらず遊びまわっていたらしい。
いずれにしろ女優としてのキャリアは
家庭に閉じ込められてしまった。
亭主より俳優としての格は上だったし、
諦めか後悔かそれとも・・・
彼女としては穏やかな心境では
なかったはずだ。
最後に老いて病んだ元花形女優の姿を
あえて世間の目に曝した。
僕も南田洋子ファンの一人として、
あの姿を見るのは忍びなかった。
そのことには思い至らなかったのか?
迷いや躊躇いはなかったんだろうか?
相手の気持ちになって考えたことは
あったのか、なかったのか?
ある女性が、
夫婦なんていいこと悪いこと
”まるごと愛せない”
と破綻するしかない、
という感想を寄せられた。
そのひと言かなって気もする。
多分亭主の長門には”愛妻”の心の内は
みえてなかった。TVの画面からも、
甘やかされた男の自分勝手さが
透けて見えるような気がした。
女性たちの過激な一般論は、
長門の心のうちはよく
のぞいているが、
あえていわせてもらえば、
彼女たちにも肝心の
南田洋子の心境は見えてなかった。
見えていないという意味では
長門と同類だ。
元ファンの一人として確信するが、
あの麗しき女性は、
夫をまるごと愛していた。
良いも悪いも関係なく、
綺麗事でない愛し方で。
それだけは間違いない。
だからまるごと愛された、
幸せすぎる亭主は”完敗”だった。
そしていくつもの周回遅れで、夫は
老い衰え、逝ってしまったのだ。
妻の後を追って・・・。
こんな愛し方、あんな愛し方
でなきゃだめと決めつけるのも
あなたなら
こんな愛し方、あんな愛し方
でもいいと大きく受け止めれるのも
あなたなのだ。
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