目次
21世紀という時代の変化
今まで「対岸の火事」と思っていた問題が、私たちの身近にも迫ってきたのが、21世紀という時代だと思います。結婚難という問題もその一つで、生物種が急速に絶滅の危機に瀕している中、私たち人間も例外ではありません。出生率の低下、そして人口減少が進んでいます。これは経済先進国特有の社会現象と言えるでしょう。
豊かになり、生活にゆとりができるはずなのに、なぜか出生率は上がりません。それはおそらく、上ばかりを見すぎて、足元がおろそかになってしまったためではないかと感じます。教育という人間的成長の場でさえ、社会的ステータスを目指すための手段になってしまったのです。
学歴社会の問題
今、世の中では「学歴」が支配しています。しかし、学歴が知性や良心を育む方向に進んでいないように感じます。学歴は出世の手段に過ぎない。もし学校の勉強だけに集中していると、頭の仕組みが平面的になり、心の成長が後回しになってしまう。そんな風に感じるのは私だけでしょうか?
こうなると、仮に結婚相手を見つけたとしても、結婚生活を全うするのは難しくなるかもしれません。なぜなら、結婚生活や家族の営みは非常に人間的なもので、ただの効率や理論だけでは成り立たないからです。
「より遠く、より速く、より合理的に」という時代の終焉
これまで私たちは、「より遠く、より速く、より合理的に」を合言葉に生きてきました。インフラ全体がその方向に進んでいます。新幹線、高速道路、ジェット機、どれもこれも便利で夢のような話ですが、実はこれらは「夢そのもの」だったのかもしれません。
リニアができて、もし日本列島を瞬時に横断できるようになったとしても、それがどうしたという時代が、今、迫りつつあります。これからの時代の合言葉は「より近く、よりゆっくり、より寛容に」。身の回りの景色を味わいながら、人生という名の旅を大切にすることが重要になってくるでしょう。
結婚における「心のひだ」の重要性
結婚相手を見つける際には、相手のステータスに目を奪われるのではなく、相手の「心のひだ」に込められた陰影を感じ取ることが重要です。婚活アプリなど便利なメディアが広く利用されるようになりましたが、便利さだけでは解決できない問題も多いことを理解する必要があります。
「より遠く、より速く、より合理的に」という時代の流れにはフィットしていたかもしれませんが、その時代が加速度的に変わりつつあります。特に「合理的」という言葉は、経済的合理性に基づいていますが、これが私たちの生活にまで影響を及ぼすと困ったことになります。
資本主義経済の限界と人間の変化
現在の資本主義的な経済は飽和状態に達し、息を潜めています。見直しというより、私たち人間(ジンカン=世の中)が「Uターン」する時期が訪れているように感じます。日常生活の基本は結婚から始まる家族や家庭です。そのため、結婚、家族、家庭に必要なものは、心身ともにくつろげる「寛容さ」であるはずです。競争ではなく、共生が求められます。
愛情が最も重要であり、経済的なものは二番目、三番目の問題となります。かつて日本が貧しかった時代には、愛情こそが夫婦や家族を結びつける唯一の絆でした。
お金の価値と心の縁
お金には人を惑わせる魔力があります。かつては一億円の預金があれば、豊かな暮らしができた時代もありましたが、今ではその価値も変わりつつあります。今日の一億円は十年後には二千万円、二十年後には無価値に近づくかもしれません。そうなった時、私たちを支えるものは何か。それは、お金ではなく、心の「縁」なのだと思います。
人間の振り子のような変化
これは人間の終わりではなく、むしろ新しい始まりです。人間(ジンカン=世の中)とは振り子のようなもので、右に振れ左に振れながら、必ず元の位置に戻ってきます。それぞれの変化には意味があり、その意味を学び取ることが重要です。そして学んだことを未来にどう活かしていくかが大切なのです。
結婚や家庭のあり方も、この振り子のような変化に伴い、大きく変わっていくでしょう。
むつみ会の歴史と変化
熊本の結婚相談所「むつみ会」の60年の歴史を振り返ってみても、結婚や家族に対する考え方は大きく変わってきたことがわかります。たった半世紀の間に、結婚や家族のあり方はずいぶんと様変わりしました。
私たち夫婦は結婚して42年になりますが、もちろん楽しいことばかりではなく、むしろ苦しいことの方が多かったと思います。それでも、もし楽しいことばかりだったら、どんな夫婦になっていたでしょうか?子どもたちはどんな大人になっていたのでしょうか?
今、私たち一人ひとりが考えなければならないことは、子どもにとって本当に大切なものは何か、そして子どもが心の底で求めているものは何かということです。それを考える時が、今、まさに来ているように思われます。