ロマンの花咲くころ

熊本の結婚相談所むつみ会のブログ

2023.06.2
ドラマからの伝言

かって恋愛至上の浪漫の花咲く時代がありました。
ゲーテは「若きウエルテルの悩み」で禁断の恋に
命を散らす青年の姿を描きました。
当時のヨーロッパで空前のベストセラーとなって
大勢の青年たちが自らのウエルテルの悩みを悩み
こめかみに銃口をあてました。
もちろん現代はそんな浪漫の時代ではありません。
それどころか対極のシビアな現実が支配する時代
です。
ウエルテルに感情移入できるような現象は夢のなか
でだって起きるのやら起きないのやら。
「純愛」はいまでは現実の生活とのはざ間でひたす
ら幻想化し実体化する暇もないくらい。
さて浪漫の反対って何でしょうね、皆さん。
僕が思うにそれは「主義」にとらわれすぎないこと
ではないかと。だから浪漫”主義”とはいいたくない。
ただの浪漫、ロマン、ロマンチスト、ロマンチック。
ロマンチシズムっていうとどうもイズムっていう語
感が耳に触る。
主義＝イズムってのは結局「定型発達」とか「定型
発信」とかにつながりそうだと思うのです。あるい
は流行りの言葉を借りれば「自閉症」。普通には社
会の定型から外れた人たちのことを「自閉症」とい
いますが、どうも逆も真なりではないかと。
というより、定型からはずれてしまったエトセトラ
な人たちだけがレッテルを貼られてしまった。レッ
テルを貼られて仕方なくそれらの人たちとの回路を
自ら閉じてしまったのではないかと。
DNAは人間の設計図だと言われます。でも発徴する
遺伝子は２％だけで、他の９８％についてはジャン
ク（クズ）扱いされていました。ところが最新の研
究では９８％はジャンクどころか宝の山であること
が分かってきました。
ということであえて強弁させてもらうと、浪漫とは
すなわちこの９８％のジャンクが持っているとてつ
もない可能性のことではないかと思ったりするので
す。イズムにとらわれると頭がカタくなりがち。つ
まり固体です。固体だから百家争鳴（我も我も）と
いう不毛な混迷を招いてしまう。僕は人間が成長す
るというのは覚醒すること、昇華すること、液体に
なりさらには気体になること、なんてトンデモナイ
ことを考えたりするのです。
つまり、
可笑しくも悲しくもない人生なんてイヤだ。
列車のタイムテーブル、
眼に見えて耳に聞こえる、
資本主義文明、ルーチンワーク、学校教育
倦怠、通俗性、アカデミズムの死、静芸術・・・
つまりいつか隘路にはまる。
今の時代がそうであるように、
さてところで結婚して五年もたてば、さしもの大恋
愛も、おおかたアルバムの中の思い出の一枚におさ
まってしまいます、残念ながら。
井上陽水の歌”限りない欲望”では結婚リングをはめよ
うとした男はふと、女のその白い指に疎ましさを覚え
ます。
激しい欲望、激情というのはあくまで一過性で、おだ
やかな日常の水底にいつの間にやら音もたてずに沈殿し
ます。
恋愛というのは移ろいやすく、一過性で、マラソン向き
ではないのです。だから時の経過の中でいつしか、もう
一つの日常的な物語のなかへと溶けてゆくのです。
熊本の結婚相談所むつみ会はいうまでもなく、熊本の、
さてそろそろ結婚相手でも見つけようかなという人たち
が集まってくるプラットホームです。
多くの若い男女が集うところでは必ず一握りの人たちに
求心力が働きます。そんなときキューピッド役の私たちと
してはつい禁断の欲望に囚われそうになるのです。モテ
る人たちをコピーしたい。
人間ってのは表面の薄皮一枚剥いでしまえばみんな似たり
寄ったりなのですが、そんな薄皮一ほどの差で一喜一憂
する、思えばかわいそうな生き物です。
ならば、整形手術でもなんでもして、みんな同じになれば
いい。そうすればなにもかもが順風満帆、だと思いません
か？
よりよい性能やデザインを追求して、グレードアップした製
品を大量にコピーするのが「工業」の発想です。どうもそん
な発想法が深層の部分にあるのでは・・・
当事者たる若い人たちにも。シンデレラ願望という笑っち
ゃうくらいのありきたりな、見果てぬ夢は一杯詰まってい
ても、かけがえのない自分自身の恋愛人生をみいだすための
オリジナルな感性が欠けているような気がします。
彼らの双眸に映っているのは、生身の「人間」のようで、
実像は「工業製品」的グッドデザイン、高性能、最新モデルな
のかも？
現代の男女は実は、恋愛結婚という名のショッピングをして
いるだけなのかもしれません。
ショッピングセンターにミューズ神（ギリシャ神話の芸術な
どをつかさどる女神）が舞い降りることはないでしょう。後
世まで歌い継がれる恋歌が生まれることもないでしょうし、
しみじみと老夫婦の静かな幸福を味わうこともないでしょう
し、子々孫々の繁栄を祈る人類の大目的さえうやむやになっ
てしまうかもしれません。
熊本の結婚相談所むつみ会は亡き父と母の代から数えること
五十四年、千組以上のカップルを誕生させてきました。
その間陰に陽に願い続けてきたことといえば、やはりミュー
ズ神が舞い降りるようなロマンスを一つでも多く誕生させた
いということだったような気がします。特に亡き母などは
並外れたロマンチストだったものでからね。創業当時にニュ
ーカップルだった人たちも今では見事な？おじいちゃん、お
ばあちゃんになってらして（中にはどちらかが先立たれたご
夫婦もいらっしゃいますが）が、たまさかにひょいとむつみ
会を訪ねていらしゃった時など感無量といった気持ちになっ
てしまいます。なくなった父母の思い出話が花咲く時など
には何やら、そばに二人がいて微笑みながら佇んでいるよう
な気持ちになるのです。