結婚相談所において、時に私たちは会員様の苦しい気持ちに共感し、そのサポートをすることが求められます。最近、あるセラピストのブログを読んで、心に残るエピソードがありました。それは、ショッピングモールで目にした一瞬の出来事でした。この出来事から、他人の心の痛みに寄り添う大切さについて深く考えさせられました。

ショッピングモールで見かけた心温まる瞬間

そのブログの中で、若いセラピストの女性が、ショッピングモールで偶然出会った母親と子供のやり取りを目撃します。母親は赤ん坊を抱き、五歳くらいの男の子を連れていましたが、男の子がぐずり始めます。お母さんは必死に説得しようとしますが、男の子のぐずりは止まりません。とうとうお母さんの怒りが爆発し、モール中に響き渡るような大声で叫びました。

「いい加減にしなさい！！」

そして、お母さんは男の子に平手打ちをしてしまいました。その瞬間、周囲の空気が張り詰め、一瞬の静寂が広がりました。周りの人々は心の中で「これって幼児虐待では？」と思ったかもしれません。そんなとき、一人のお婆さんが静かに近寄ってきました。

お婆さんの優しさが心に響く

驚いたことに、お婆さんはお母さんを怒るのではなく、逆にその苦しみを理解しようとしていました。

「まあまあ、お母さんも大変やねえ。赤ちゃんが生まれてからろくに寝ていないんでしょう。」

そして、男の子の頭を優しくなでながら言いました。

「ぼく、よく泣いたねえ。偉い偉い！赤ちゃんが生まれてからずっと我慢してきたんだよね。」

お婆さんはお母さんと男の子の頭をなでながら、二人に優しい言葉をかけて去っていきました。お母さんはその言葉に思わず涙をこぼし、男の子をしっかりと抱きしめながら一緒に泣きました。周囲の人々もその光景に心を打たれ、ある女性がティッシュを渡していたのです。

セラピストの内面の変化と学び

この光景を目の当たりにしたセラピストの女性は、初めて自分が他人の出来事に関心を持っていないことに気づきました。普段は他人の問題に無関心を決め込んでいた自分に対し、激しい嫉妬心を感じました。彼女はこう感じたのです。

「私にはあんな風に他人にさりげなく関わることなんてできない。」

しかし、その後彼女は、他人事として割り切ることが必ずしも正しいわけではないと気づきました。今後、同じような場面に出くわしたときには、もっと心を寄せられるようになりたいと思うようになったのです。

心の痛みを理解するにはどうすればよいか

セラピストは、自分が年齢を重ねて、お婆さんと同じ年齢になったときに、果たしてあのお婆さんのように他人に寄り添えるだろうかと考えました。言葉だけではなく、その背後にある「心のあり方」が重要だと気づいたのです。

お母さんが泣いた理由は、言葉そのものではなく、その言葉の背後にある温かな想いだったのでしょう。心の痛みを癒す方法は、理論やテクニックではなく、実際にその痛みを感じ、共有することから生まれます。

心の痛みを乗り越える力

心の痛みを癒すためには、同じ心の痛みを持つことが必要だということに気づきました。悲しみや痛みは、自己憐憫ではなく、他者の犠牲によって支えられていることを理解することが大切です。

このような痛みや悲しみは、心と心を繋げる絆を作るものです。心の痛みは、一歩間違えれば人を壊してしまいますが、それを乗り越えることで、心に新しい境地が開かれるのです。

まとめ：他人の痛みに寄り添う力

結婚相談所での仕事は、単なるマッチングやアドバイスにとどまらず、会員様の心の痛みに寄り添い、その人らしい人生をサポートすることです。他人の心に寄り添うためには、ただ表面的な言葉をかけるのではなく、その人の痛みを理解し、共に感じることが大切です。それこそが、真のサポートを提供する力となり、結婚生活の絆を深めるための第一歩となります。