結婚相談所での仕事をしていると、さまざまなカップルの出会いや、その後のライフスタイルの変化に立ち会います。今回は、予想外の転職を遂げた一組のカップルのお話を紹介します。
不意に届いた写真葉書
ある日、郵便受けに届いた一通の葉書。絵葉書ではなく、写真葉書でした。旅先から送られてきたのかと思いましたが、実際には、ゼロ歳児の赤ちゃんを抱っこした父親と、満面の笑みを浮かべた母親の写真が印刷されていたのです。
最初は、見覚えのある顔だなと思いましたが、しばらくしてから「あのご夫婦だ!」と思い当たりました。背景には広がる畑、そして山の中で農作業に従事している様子がうかがえます。ご夫婦は、3年ほど前に結婚したばかりで、当時は有機農業を営む若いカップルでした。
自分たちで立てた「マイホーム」
当時、私はそのご夫婦が自分たちで立てた家を見学したことがありました。木の温もりが感じられる、丸太組みの家は外観も内装も立派で、建売住宅とは違う独特の重厚感と開放的な雰囲気がありました。
広々とした天井の高い居間と、雑草が刈られた広い庭(空間)が印象的でした。柿の木や梅の木が青い葉を茂らせ、夏にはセミの合唱が賑やかになることでしょう。モグラも顔を出し、土の匂いが漂っているような、そんな自然に囲まれた生活が広がっていました。
予想外の転身:農業の道へ
そして、そのご夫婦に新たな変化が訪れました。奥さんのお腹が大きくなり、もうすぐ第一子が生まれるという知らせが届いたのです。そんな彼らが送ってきた写真葉書には、こう書かれていました。
「長女が生まれました。現在、6カ月です。5年目の結婚記念日を迎え、お世話になった皆様にご報告とお礼を申し上げます。」
さらに追伸として、「ご覧の通り、現在二人とも勤めを辞めて、山の中で農業をしています。妻と共に永年の念願だった職業に就きました。」と記されていました。
一流大学出身からの大転身
一流大学を卒業し、大学教授とエリートサラリーマンとして活躍していた二人が、まさか農業に転職するとは、驚くべき転身でした。外見もすっかり農家の顔になり、最初はその変貌に気づくのに時間がかかりました。落差が大きすぎて、誰もが最初はピンと来ないほどです。
選良カップルの意外な選択
それまで「絵に描いたような選良カップル」として、華々しい経歴を持っていた二人。しかし、彼らはそれを捨てて、自然の中での新しい生活を選びました。この選択には深い思いがあったはずです。その話を聞いたとき、私はしばらく呆然としていました。「本当にすごい選択だな」と思わずにはいられませんでした。
二人の出会いと転機
このご夫婦のなれ初めには、強烈な印象が残っています。出会いからして、まさに印象的で、忘れがたいものでした。どんな経緯で彼らが結婚し、その後農業の道を選ぶことになったのか、その詳細はまた別の機会にお話しできればと思います。