ですから婚活の状況もそんな世相の激変を色濃く反映していく
ことに当然ながらなります。
むつみ会結婚相談室がスタートしたのは、岸さんご夫婦のよ
うな年代の方達が適齢期に差し掛かった時代だったわけです。
実家は家は狭いし人だけはやたらに多いからどうなるかとい
うと、どうにかなるしかないわけです。
子どもだって、野球とかサッカーとか、たまにラグビーのチ
ームだって作れるくらいのトンデモナイ人数になってくる
と（皆さん、そんな状況って想像できますか？）もう親の手
になんか負えなくなります。
料理に例えますと、少子化時代の今が、フルコースのメニュ
ーをナイフとフォークを上手に使ってお召し上がるになるよ
うなものだとすると、そういう家族では、どんな材料が入っ
ているかあんまり定かでないごった煮の鍋を早い者勝ちで
食べるような、といったところです。
もう両親の合わせてたった四本の手くらいでは、始末に負え
ないので、そうなると子ども同士の間の生存競争で育ってい
くということになります。それで、割と順調に育つやつと、
そうでもない奴が自然発生するということにもなります。
そういう家庭で結婚適齢期をむかえた人たちがどういう婚活
をするのか、まあ、大体想像できると思います。
一応誤解のないように言っておきますが、みんながみんなそ
うだったわけではありません。
中には一人っ子で大事に育てられた人もいましたが、世間に
出ますと、野生児ばかりの中でさぞや肩身の狭い思いをした
のではなかろうかと思います。
そういう中で「お嫁に行く」とは、その分お家の中が寂しく
なるなあ、という感慨はないことはないでしょうが、それ
よりようやく厄介者が一人が片付いたというのが心境だった
のではないかと推察できます。
そういうムードを本人もそれとなく感じていますから、トキ
メキがないとか、顔が好みじゃないとか、背が低い、メガネ
をかけてる、共同トイレのアパート住まいとか、学歴がどう
とかそんなことは勢い二の次になります。
まあ三分の一くらいは家出感覚ですから、着の身着のままで
サッサと出てくわけです。
第一頼みの綱の親が真っ先にこんなことをおっしゃる。
「あんたねえ、自分のこと何サマと思ってんのよ！いい加減
にあの辺で手を打ちな！」
ってなわけで、シャンシャンとなって、それでも不思議なこ
とに結構ハッピーなニューファミリーが、まあ次から次へと巣
立っていったのです。
いい加減とか、乱暴な、とか思われるかもしれませんが、そ
っちの方が、新家庭に波風が立ったとしても、すぐサヨナラ
とはならない気もします。
だって、考えてもみてください、しあわせもふしあわせも、
望む、望まないにかかわらず勝手にあちらのほうからやって
くるものですから、こんなものだと割り切る方が、結局は
長続きするのでしょう。