「ずいぶん賑やかねえ」
「ええ、日本で一番賑やかな通りですから」
「みんな幸せなのかしら?」
「そうですねえ、少なくとも不満はないでしょうね」
「……不満がなければ幸せなのかしら?」
「………………」
— 映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』より
目次
幸せとは「不満がない」こと?
このやり取り、あなたはどう感じましたか?
もし不満がないのに幸せでないとしたら、何が足りないのでしょう。
逆に、不満があれば、それは「不幸」なのでしょうか。
映画『男はつらいよ』シリーズが進むにつれ、寅さんという存在は変わらなくても、周囲の世界は少しずつ変わっていきます。
通俗化する現代社会の中で、人情味あふれる寅さんの世界は、かえって風刺的に見えてくるのです。
「人情」の居場所がなくなる時代に
人情とは、お互い様という精神であり、「心のゆとり」でもあります。
ところが現代は、何もかもが標準化・一般化され、世間がどこか狭くなっているような気がします。
異質なものを許容しにくくなり、みんなが「退屈な良民」に化けないと生きづらい。
結果、「毎日がクソ面白くない」けれど、不満はない。
それって本当に幸せなのでしょうか?
……つい、余計なお世話かもしれませんが、問いかけたくなるのです。
「いま、アナタ、幸せですか?ほんとに……?」
あの屋根裏部屋の新婚カップル
ここで、私の心に残る忘れがたい記憶を紹介させてください。
小学校4年生の頃、我が家のすぐ近くに若いカップルが引っ越してきました。
お兄さんとお姉さん、どちらも優しくて、どこか他の大人たちとは違う、特別な雰囲気をまとっていました。
彼らの引っ越し荷物は、なんとも質素。布団が一組、あとはほんの少しの家財。
私たち近所の悪ガキトリオが、それを嬉々として運ぶのを手伝いました。
二階の天井裏のような部屋が、彼らの新婚生活のスタート地点。
狭くて暗くて、家具もほとんどないけれど、彼らは満ち足りた表情で、そこに暮らしていたのです。
毎夜、トランプだけの遊びが宝物だった
それからというもの、私たちは毎晩その部屋を訪れました。
遊びといっても、あるのはトランプ一組だけ。
でも、その屋根裏部屋でのひとときは、笑い声にあふれていました。
晩秋の寒い夜、裸電球の下で、私たち5人は時間を忘れて遊んでいました。
やがて春、お兄さんの転勤が決まり、二人は引っ越していきました。
あのお別れの日の寂しさは、今でも忘れられません。
「幸せ」のカタチは、時代によって変わる?
それから20年後、小坂明子さんの『あなた』がヒットしました。
♪ 白い家、大きな窓、古い暖炉、ブルーの絨毯、真っ赤な薔薇、白いパンジー……
その歌詞に違和感を抱きました。
あの屋根裏部屋の現実とは、あまりにかけ離れていたからです。
家具のない部屋、林檎箱のテーブル、火の気もない寒い夜。
でもそこには、心から笑い合える人と人との「ぬくもり」がありました。
幸せの条件とは何か?
結婚相談所で多くのご縁を見届けてきた私ですが、いまだに考え続けています。
幸せとは何なのか?
不満がないこと?
理想の間取りやインテリアを手に入れること?
それとも、裸電球の下で語り合える、あの人が隣にいること?
時代が変わっても、幸せの本質はきっと変わらない——そう信じています。
■まとめ:あなたにとっての「幸せ」とは?
結婚は「条件」よりも「感情」で続くもの。
住まいが狭くても、お金がなくても、心が通っていれば、それはかけがえのない日々になります。
今、あなたは幸せですか?
もし、少しでも「何かが足りない」と感じたら、その感覚に目を背けずにいてください。
その先に、本当に大切な人とのご縁が待っているかもしれません。
熊本の結婚相談所むつみ会では、「幸せの原点」に立ち返った出会いをサポートしています。
結婚という人生の旅を、心から一緒に楽しめるパートナーを見つけたい方は、ぜひご相談ください。