さて一口に理想の結婚相手、ベストカップルと言って
も、こればかりは簡単な話ではありません。
あえていえば、タイミングとめぐりあいということに
尽きるのかなと思います。
要するに第三者の入り込む余地がない、というか、先
入観もあてにならないし、理屈で語れるものでもない
のかなと思います。
ナルホドという組み合わせもあれば、一方では意表を
突かれるような場合も少なくありません。
その辺りは僕たちとしても重々気を配らなければいけな
いところなのです。余計なお世話を戒めることも大切な
のかなと。
むしろ絵に描いたような素敵なカップルより、一見ミス
マッチかなと思われるのに、とても上手くいく場合が多
いので、難しいものだとなと思うより、よくできている
もんだななと感心するケースが多いです。
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他の結婚相談所では、お見合いしてから結論を出すまで
の交際期間をあらかじめ決めていることが多いようです
が、むつみ会結婚相談所では、そういう縛りは一切あり
ません。
ですから、最短ではお見合いしてから一週間というのも
あれば、最長では四年かかったのもあります。
成婚まで一週間遠いうのが、この52年間のレコードです
が、日曜にお見合いされて、それから毎日デートされて、
次の日曜日に二人でオフィスにいらっしゃいました。
そして、婚姻届の証人（婚姻届には二人の証人が必要な
のです）になってくれと頼まれたので、もちろん喜んで
署名捺印しましたが、まだどこかさすがに半信半疑の心
地でした。なにしろ一週間まで見ず知らずのアカの他人
だったわけですからね。まるで奇跡を目の当たりにする
思いでした。
お二人は丁寧にお礼を言われて、明朝早速二人で役所に
提出に行きますとのことでした。
そういえば、ご両親が（早逝されて）いらっしゃらない
同士のカップルもありました。
結婚披露宴はしないで、教会で二人だけの挙式をしたいの
で、ぜひ親代わりで、付添人と結婚の誓いの証人になって
ほしいと頼まれたこともありました。
街中の古いカトリックの教会での四人きりの結婚式でした。
とても静かで、何の演出もないセレモニーでしたが、感動
で胸がいっぱいになったのを憶えています。
四人の想いがギュッと凝縮されたようなひと時でした。
亡くなったお二人のご両親が満面の笑顔で、その様子を眺
めておられるような気がしたものでした。
結婚の仲人（媒酌人）を頼まれたこともずいぶんありまし
た。披露宴の司会進行を引き受けたこともありました。
どちらもやはり格別の思い入れみたいなものがあります。
そしてその後も長い家族付き合いをさせてもらっています。
子どもも生まれて、中にはそのお子さんが適齢期になった
方もいらっしゃるし、親子二代で婚活のお世話をさせてい
ただいているいるケースも多々あります。
そんなときつくづくとこの仕事はただのビジネスじゃない
んだな、なんて思いますし、そうであってはならないよう
な気がします。
人の一生に関わる仕事ですから、責任の重さというプレッ
シャーで悩ましい思いをすることもありますが、そんな風
にして幸福な家庭を着々と築いていかれるのを目の当たり
にする時は、ちょっと説明のしようのない充実感で涙ぐみ
たくなる事もあります。
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ゴールインまでに四年かかったお二人については、家庭の
事情（二人とも一人っ子）で、一旦破談になるという経緯
がありました。
でも、破談になった後もお互いのことを忘れられなかった
のです。他のお相手を紹介しようとしても、どうしてもそ
の気になれないとおっしゃるのです。
男性の方は休暇をとってしばらく傷心を癒す旅に出かけら
れました。
私たちも見るに見かねてついに、ダメ元でいいから、もう
一度やり直してみたらいかかですか、とアドバイスしまし
た。そうして交際を再開した二人は、二年かけて双方の両
親を説き伏せて、ついにめでたく結婚するになりました。
それまでが茨の道であっただけに二人の喜びもひとしおの
ものがありました。
その一方では、一人っ子同士なのにスンナリと進んだケー
スもあります。
そこはやはり当事者たちの考え方次第なのかと思います。
「次男次女、三男三女だろうと、親を大事にしない夫婦も
いるし、長男長女でも双方の親を大切にする夫婦も居る
ものよ」。とそのご両親は考えられました。
僕たちもその通りだと思います。本人同士が仲良くて、
思いやりがあれば、少々の障害は乗り越えられるどころか、
かえって雨降って地固まることもありかなと思います。
年々少子化傾向とやらで、家族構成が大きな障害となるこ
とが増えてきつつありますが、そんなときには杓子定規で
堅苦しく考えるより、おおらかに構えたたほうがいいよう
に思います。結婚するにあたってもっとも大切なものは何なのかということに思いを馳せた方が、幸せのキューピッドは微笑むようような気がするのです。
（続く）
