熊本の結婚相談所むつみ会のブログ

結婚のいろんなカタチ ④ 理想のカップル

受話器の向こうから聞き覚えのある声が飛び込んできました。
「どうもー野田さんお久しぶりです。」
「いいえ、こちらこそ。えーと。」。
「僕ですBです。どうもご無沙汰いたしまして」。
ひょっとしてと思っていたら、やっぱりBさんでした。
「今どうしてらっしゃるんですか?」。
「実は僕たち結婚しまして、今新婚旅行から帰ったばかりなんです。」
「えっ!僕たちって・・・どなたと・・?」
「ハハハ・・Cさんです。彼女もそばにいます。」
「えーCさんと・・?だって・・。」そうなんです。
BさんとCさんはとっくの昔に(およそ2年前)破談になっていたものとばかり思っていたのです。
BさんとCさんがお見合いされたのは4年前のことでした。
お二人とも誠実で思いやりのある方で気が合ったのでしょう、
二年間お付き合いされて(チョット長かったですけど)ゴール寸前まで来ていました。二人とも
ニコニコして周りまで楽しくなるほど幸せそうでした。ところが最後の最後の詰めでご家族か
ら反対の声が上がったのです。
理由は一人っ子同士だったからです。少子化のなかで家族構成が最終的に障碍になること
がとても多いのです。交際期間が長かったのは実はそのことがひっかかっていたからでしょう。
二人ともすっかり意気消沈されて特にBさんは相当重症でした。
ついこの間とは一転した、しょげかえった表情でむつみ会のオフィスに来られました。
「野田さん今度ばかりは心底こたえました。しばらくは立ち直れないと思います。」
私たちとしても、慰める術がありませんでした。それから二ケ月ほどして又訪ねて来られました。
長期休暇をとって一人傷心を慰める旅に出かけたとのことでした。
もう大分元気を取り戻されたのかと思い新しい相手を紹介しようとすると、悲しそうに首を振って
「いえまだとてもそんな気分には・・・。」といわれます。
それを聴いた私の口から思いがけない言葉が飛び出しました。
「それじゃあ、もう一度だけCさんにアタックしたらどうですか。ダメ元で。もしそれでも駄目だっ
たら今度こそ本当にあきらめると・・」。
余りにも可哀そうだし、それにいかにも惜しい御縁だったのです。
それからどうなったのか、すっかり連絡が途絶えていました。
こちらから働き掛けるのも余計なお世話のようだし、そっとしてあげようと思ったのです。
そして突然冒頭の電話があったのです。
話では私の助言の通りに最後のアタックをして、その後二人で二年かけて家族を説得したと
いうことでした。
私たちとしてはまさかそんな展開になっていようとは予想だにしていませんでした。
若い方同士の場合、特に少子化時代と言われる昨今では、一人っ子とか、長男長女とかい
う理由で破談になることが少なくありません。
仕方がないといえばその通りなのですが、MさんとNさんのケースではすんなりとゴールインし
ました。
本人同士もですが、ご両親もほとんどそのことを気にされなかったからです。ご両親がお
っしゃるには、
「次男三男、次女三女だろうが関係ないと思います。結局は本人たちの性格次第で、親に
無関心な子は、親の面倒なんてどこ吹く風だし、思いやりのあることは親が何人いようが知ら
ん顔なんてしませんよ」。
全くもってその通りなのです。思いやりさえあれば、血の繋がりなんかなくても、本当の家族
以上の心の繋がりが生まれるものなのだと思います。
人と人との関係なんて網で魚をすくうようにはいかないと思います。網の隙間から洩れた中に、
素晴らしい人がいっぱいいます。
僕たちはそんな例をいっぱい見てきました。そしていつもため息をつきました。なんてもったい
ないことをするんだろうって。

人生がフォーマット化され、人がマニュアル化されました。フォーマットとは古代ギリシャ語で、
元になるカタチの事。マニュアルとは手引のことです。
その昔、日本マクドナルドが急速な店舗展開の従業員養成のために(しかたなく)つくったものです。
どっちも手抜きで均一化を意味しています。
だから融通が利かず、学習の要素が希薄で、指示待ちで、受け身です。
心のこもった”おもてなし精神”がそこには抜けています。もっとも大事なものがありません。
そしてそれは”コンビニ人間”として完成されました。
日本人いや世界の人々がコンビニ化されるといかがなものになるのかでしょうか?
婚活の場にまでコンビニ人間が溢れるようになったらと考えると、何か背筋が寒くなってきます。
村田沙耶香さんの芥川賞受賞小説は、数か国語に翻訳され、世界的なベストセラーと
なりました。
人が無機質なコンビニ世界と一体化し、アイデンティティが見失われていく。鶏の唐揚げの味
覚はどうでもよくなり、見かけだけの唐揚げ棒に舌鼓を打つようになる。
時代のメーンストリームがそうであるのとは対蹠的に、サブカルチュアでは日本人は世界を席
巻しています。しかしサブが接頭になっているのがですね。
本物のカルチュアとはランダムな造形美のことで、スピリットを育みます。心が豊かでやさしく
なります。
スピリットは際限のない世界で、近年の研究によると眼球を電子顕微鏡で探って行くと脳に達し、
さらにその先にいくと宇宙のようになっているらしいのです。
どうも智慧というのは宇宙の摂理に由来しているらしいとかいう科学者も出てきたようです。
さてそこでです、そんななかでの婚活には非常な困難が伴うのだと思います。
恋愛結婚指向が強いのですが、その恋愛とはランダムな造形美に惹かれる情熱らしいのです。
人工美と自然美のどっちがどっちか?あなたは結婚相手にどちらの方を選びますか?
人は本来なら、後者(ランダムな造形美)にしか恋しないのです。
恋愛結婚といいますが、アイデンティティを見失った男女はおそらく恋愛のなんたるかさえ分
かっているつもりで、本当は分かっていないかもしれません。
人工的に整えられたカタチに惹かれるのは最初のうちだけで、呆気なく冷めてしまうものだと
思います。炎が消えてしまえば、その炎が大きく強ければ強いほど、顔を見るのも嫌になります。

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