七十四歳から三十歳のあなたへ

長い人生を旅してきた…といっても、たかだか七十四年。
今年の九月十一日でいわゆる後期高齢者の仲間入りです。まあ、どうでもいいけど、ちょっと余計なお世話という気分です。

光陰矢の如し、なんて言いますが、三十歳のあなたにはあまりピンとこないかもしれませんね。
私の年齢までまだ四十年以上の未知の世界が広がっているわけですから、「光陰矢の如し」という言葉は切なすぎます。でも、来し方を振り返ってみれば、同じようなものかもしれません。年齢を重ねるほどにじわじわと実感が湧いてくる言葉です。
あと残された寿命が十年か二十年か、あるいは五年か分かりませんが、いずれにしろ大した違いはないように感じます。

パートナーとの絆—歳月を共に過ごす

さて、そんなときにつくづく思うのは、苦楽を共にしたパートナーがいるかいないかで、人生が大きく変わるということです。
私たち夫婦も山あり谷あり、風月を共に過ごしてきましたが、何かあるごとにお互いの絆が切っても切れないものになってきたように感じます。
一人では越えられない艱難辛苦も、二人ならどうにかなりますし、その度にお互いがかけがえのない存在感を強めてきたように思います。

お互いにいつの間にかお爺さんお婆さんになり、あの時はどうだったね、こうだったねと語り合うのは楽しいことです。そして、この人と共に過ごしてきた歳月が尊いものに感じられます。

豊かな人生の物語

そんな物語に子どもたちや、孫たちの物語が交錯してきます。
もし「豊かな人生」というものがあるとするなら、たくさんの物語を抜きにしては語れないように思います。
熊本の結婚相談所「むつみ会」は、単なる結婚相手を見つける場所ではありません。
私たちは、この結婚相談所が「人生の物語」の発信基地となることを願ってきました。
お互いに知らない男女が「むつみ合い」、新たな歴史のスタート地点となる—そんな思いで、これからもこの場所を大切に育てていきたいと思っています。

むつみ会の始まりと今

五十四年前、熊本交通センターがオープンした年に、今は亡き父と母が立ち上げた結婚相談所「むつみ会」。
当時、熊本でも日本中でも結婚相談という職業は存在していませんでした。私たちが開業した頃は、暗中模索の状態でした。
何度も「やめよう」と思いながら続けてこられたのは、お金儲けが目的ではなく、人生の最後に意義のあることをしたい、そして人のためになる仕事をしたいという思いがあったからです。
その願いが、今も熊本の結婚相談所「むつみ会」のベースになっています。私たち夫婦が後を受け継いで今に至るのも、その思いがあったからだと思います。
ビジネスライクに考えたなら、半世紀を超えて続けることはできなかったでしょう。

結婚相談所のメッセージ—あなたへ

そして、私たちからこれから結婚を考える人たちへのメッセージを伝えます。
これは私たちからの、そして亡き父母のメッセージでもあると思います。

七十四歳から三十歳のあなたへ

私たちはあなたたちから学びます。
結論は至ってシンプルなのだと。

あなたは相手の眼を見て言います。
「それが望みなの。」
すると相手も言います。
「私もよ、それが望みなの。」

たくさん過ち、転び、傷つく。
そして最後に、大切なものに気づく。
愛する心と希望に出会う。
それが三十歳という名のあなた。

でも、物語に終わりはないのです。
そこで一段落するだけ。
あなたたちには未来は見えない。
だから支配しようとしないで、
ひたすら身を委ねる。

たとえ何があろうと、
何が起きようと。

そうそう、こういった人がいました。
今こそが人生最高の時。
なんだって…。

七十四歳から三十歳のあなたへ、
これはアドバイスではありません。
七十四歳の私のひとつの意見です。

結婚は、人生を豊かにする大切な物語の始まりです。
「むつみ会」では、この物語が始まる場所となり、未来に繋がる大切な絆を紡いでいくお手伝いをしています。
あなたの未来に、新たな一章が刻まれることを願って。