日本の結婚と結婚相談・SNS万能がもたらすもの

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日本の結婚と結婚相談・SNS万能がもたらすもの

2022.10.22
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日本の結婚と結婚相談・SNS万能がもたらすもの

人となりが奇麗な平面で、四角形とか八角形とを秩序正しく
造形している人なんてありえないし、かえって気持ち悪いよ
うな気がします。
全体的に凹凸、起伏、明暗、濃淡、非定形，不可知部分があ
自然のランダムな美しさであると思います。そしてそんな風に
ランダムであるほど人間同士、特に男女はひかれあうのです。
第一男性が女性に、男性が女性に惹かれるのは、絶対に自分
にないものが相手にあるからなのでしょう。
そういうわけで恋愛とは、結婚とは、夫婦とはパズルのよう
なもので、お互いにかけてものを補い合う形で成り立ってい
くものだと思います。
ところがコンピューターをポケットに入れて持ち歩いている
ようなスマホが私たちの暮らしに密着しすぎるようになりま
すと、そのあたりまえの世界が歪んできたような気がするの
です。
ファスト教養なんてのが出てきました。ファストフードや
ファストファッションの教養版ってとこですか。いかに手っ
取り早く教養を身につけるか。知識を、ではありません。
教養なのです。言っておきますが、知識がいっぱい頭に詰ま
っている人が教養があるとは限りません。もし他人より物
知りになったからといって鼻高々になるような人は教養が
ない人だと思います。
教養とはいろんなことを知ることによって人格が養われた
人のことだと思います。ですからどうも手っ取り早く知識
を得ることと教養とを直結させかねないファスト教養という
風潮は危険なものに思われてなりません。
このファスト教養が表に出てくる仕掛けとなったのは、明
らかにSNSの普及なのだと思います。
実際便利といえばこんなに便利なものはありません。スマ
ホの時代しか知らない若い人たちに思いもかけない不便な
ことが多々ありました。
何かの企画を立てて必要な資料を収集しなければならない
時、今ではデスクの前でキーワード一つがあればあっとい
う間にできます。でもほんのこの前まではそれはもう大変
だったのです。
図書館に何日も何週間もこもりっきりになったり、いろん
な経験者や識者を訪ねて教えを請ったりしなければならな
かったのです。
大学の先生の研究室なんかは書物の山でしたが、今はさっ
ぱりしたものです。世界中の図書館の必要な資料をいながら
にして調べることができるからです。明治の人たちは最先端
の知識を得るために、はるばる海を越えて留学しなければ
なりませんでした。
まあ、文明の利器というのはまさにこういうのなのでしょ
うが、便利なものにはまた大きな落とし穴もあるのです。
それは人間をデータで判断してしまうことです。確かにデー
タ化して理解できる面もあるでしょうが、ただそれはあく
までも一部でしかありません。自分の半生を託す結婚の相
手を探す、つまり婚活の舞台となる結婚相談の現場では特に
そのことを痛感します。
四十年前にむつみ会結婚相談所でコンピューターを導入した
時、実は心密かに期待するものがありました。目と耳と声
を使って手間暇でお世話していた非効率この上ない方法で
ない、全く新しい結婚相談のあり方が開拓できるのではな
いかということです。
しかし二年もしないうちにそれがどんなに見当違いであっ
たかということが身にしみて分かったのです。
結婚相手の選択の仕方から、人間的な要素がスポイルされて
しまうのではないかということでした。結婚をステータスだ
けで考えてしまう傾向が強くなります。相手のことなど考え
ないで、自分の勝手だけで考えてしまう。
自分さえよければとお互いに考えていたら、たとえ結婚した
としても長続きするはずがないし、ステータスがなくなった
ら後には何も残らないというのではあまりにも虚しすぎます。
そういう風潮が色濃くなってくると、金持ちは結婚する必要
はないし、貧乏人は結婚できないということにもなりかね
ません。
非正規労働を余儀なくされている人は結婚を諦めるしかなく
なります。世の中の中間層がいなくなって結婚できない人が
激増していきます。
そうなりますと結婚相談所まがいは増えていくのでしょうが、
結婚そのものは決まらなくなります。