日本の結婚と結婚相談・高度経済成長期

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日本の結婚と結婚相談・高度経済成長期

2022.10.16
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結婚相談の入会希望者は全部女性で、女性側からだけ高額の
（何十万円）入会金を徴収するというやり方でした。
それでも女性の入会希望者は殺到しました。正直、なんとも
浅ましい話だなと思いました。
大げさに言えば、ニッポンという国の将来はこんな風でダイ
ジョーブなのかななんて。
結婚というのは言うまでもなく人生の重大事です。そんな即
物的な計算づくで結婚生活やそこから派生してくる家族とか
子どもの教育環境とかは一体どういうものになるんだろうか
なと思いました。
私たち第一次ベビーブーム（団塊の世代）が小学校低学年の
頃までは日本全体がまだ貧しさに喘いでいました。三度三度
の食事にありつけるのはまだいい方でした。水道もなく、井
戸から鶴瓶（つるべ、家族に乾杯の笑福亭さんのことではあ
りません）で水を汲み上げて、それで料理をしたり洗濯をし
たりしていました。冷蔵庫もクーラーもガスもありません。
三種の神器と言われた冷蔵庫にテレビに電気洗濯機が現れた
のはもう少し先の話です。
ついでに言いますと、私たちの中学時代から高校時代にかけ
ては、新三種の神器（カラーテレビ、クーラー、自家用車
すなわち３C）の時代が始まります。
竃（かまど）がダイニングキッチンになり、畳敷きの茶の
間が洋式のリビングになり、寝るのはベッドの上で、お買い
物は商店街からスーパーマーケットになっていきました。
ですから若い男女の新しい結婚生活も文字通り鍋と釜から始
まりましたし、ナントカ荘とかいう共同便所炊事場の四畳半
一間から始まりました。
でも恋愛結婚の新婚カップルなら二人っきりで住めるという
だけでバラ色に輝くような愛の巣でした。小学生だった僕た
ちは、そんな貧しい中でも幸せいっぱいなお兄さんお姉さん
に憧れていました。
しかしそんな世の中の状況が一変したのです。日本の高度経
済成長と言われる時代です。世界からは奇跡の経済復興と称
賛され、旧植民地だったアジアその他の国やソ連などからは
羨望され、欧米などの先進国は戦々恐々となりました。
戦後家父長制の仕組みがなくなり、個人主義の世の中になり
ましたが、それに経済的な裏付けを与えたのが高度経済成長
でした。
それまでは地方の農家とか職人さんとかが経済的には安定し
ていましたので、若い女性たちの結婚の対象となっていま
した。しかしそういう傾向も激変してしまったのです。
東海道新幹線が開通し、東京オリンピックが開催され、自動
車が普及するようになるにつれ、国民のサラリーマン化が一
気に進みます。
多くの人が都会へ移り住むようになり、日本中の都市化が目
立つようになりました。高学歴の人は大企業の事務職のサラ
リーマンになり、ホワイトカラーと呼ばれるようになりまし
た。
その一方で貧しい家庭の中卒の子弟は男性も女性も都会の
工場の工員になるため、集団就職列車に乗って故郷を離れて
行きました。そんな人たちを誰からともなくブルーカラーと
呼ぶようになりました。
そうやって経済の復興とともに社会の階層化も進んで行った
のでした。
上中層階級は郊外に一軒家を建て、マイカーでドライブに出
かけました。これをプチブルなどと言いました。一方では
下層に属する人たちは巨大な団地に住むようになりました。
地方に住む親から離れ、そこで結婚相手を見つけ、都会の片
隅でささやかな市民的小家族を営むようになったのです。
核家族化という社会現象です。ベビーブーム世代の兄弟姉
妹が親元を離れ、お互いもバラバラになって家庭生活を送る
ようになりました。まるでそれは核分裂を見ているような
ありさまでした。
確かに経済が発展したことで世の中全体が豊かになりました
が、マイナス面としてはそういう住み分けが生まれてしまった
ことでした。
いうまでもなくそれがこれから結婚しようとする人たちや、
私たちのような結婚相談所というシステムで、婚活をお世話
するシーンにも大きな影響を与えました。
４Hクラブというのがありました。今もあるのかどうか知りま
せんが、てっきり耳にしなくなりました。多分しり切れとん
ぼになってしまったのでしょう。
４Hクラブというの農業後継者クラブのことです。むつみ会結
婚相談所をスタートしてしばらくは、まだ家業である農業の
後を継ごうかという青年たちがまだ結構いたのです。そしてむ
つみ会結婚相談所にもかなりの人数が入会されました。
でも正直対象になる独身女性が極端に少ないのです。
それで色々と工夫をしました。婚活パーテイーを発案したの
は他ならぬ私たちの結婚相談所でした。その動機となったの
は職業云々というハードルを除いた、生の人間同士として男女
の出会いの場を作りたいと思ったからでした。
だって４Hクラブの青年の中には私たちから見て素晴らしい
青年が数多くいたからです。先入観抜きでそういう独身青年た
ちの人となりに触れてもらいたいと心底思いました。
婚活パーテイーだけでなく、婚活ピクニックや婚活農業体験
や、婚活座談会などあるとあらゆることを試みました。
まあ、それなりの効果はありました。ただあまりやりすぎる
と女性が集まらなくなるということになるので、
そういう目に見えない苦労がありました。