結婚や結婚相談（結婚のお世話や仲介）、それに家庭や家
族のあり方とか男女の恋愛問題などは確かに時代によって
変わってはきますが、実はそれほどではありません。
古今東西南北人類共通というか、あるいはすべての生物に
共通なのかもしれません。なんといっても”種”が滅びないた
めの本能みたいなものですから。
では、結婚や結婚相談のあり方が変わるのはどういう場合か
と言いますと、法律が出来た時です。
昔から悪いことをした人に罰を与えたりとかの取り締まりと
いうのはありました（これを刑法と言いますけど）、庶民の
間に起こる問題などはお互い同士で話し合ったりして済まし
ていました。
特に夫婦とか親子とかの家族や家庭の問題に首をつっこむの
は、要するに余計なお世話でしかなかったのです。ですから
恋愛や結婚は、今よりずっとオープンで、自由奔放であり、
場合によっては現代人の感覚に慣らされた人にとっては結
構、不倫とかのアンモラルに感じられるようなこともなきに
しもあらずでした。
もっとも武士のような階級社会では秩序が何より重んじられ
ますから堅苦しい決まりがありましたが、長子以外の次男三
男などの冷や飯食いと言われる武士や、それ以外の町人にそ
んなものはほとんどなかったようですね。
それが江戸時代が終わり、西洋との兼ね合いで国が法律を作
るようになってくると事情は一変しました。
刑法も微に入り細に入りという風になりましたが、それとは
別に庶民の生活の細かいところまでああしなさい、こうしな
さいと一々口うるさいとも言えるような（明治）民法という
ものが初めて作られました。
特に結婚や家庭の問題を取り締まりはじめたのが1898年（明
治38年）に作られた「家族法」という法律でした。どういう
意図で作られたのかは未だにちょっとはっきりしない法律で
した。
さすがにプライベートな家族や結婚生活関係の問題に干渉しす
ぎるのが現状にあわないことが多すぎるので、正式の裁判の
前に家庭裁判所というのが設けられて、はっきり白黒をつけ
るような真似は避けるようになりました。
それにしても、この「家族法」によると結婚は当事者の同意
だけでなく、戸主の同意が必要とした決まりは、人々の結婚
や家庭に対する意識を一変させました。
実際には結婚当事者より戸主の同意によって結婚が決まって
いくということになってしまいました。
そうなりますと、親同士の話し合いで結婚が決まるわけです
から、結婚の当事者である本人たちには、あんな人は嫌とか
こんな人は嫌とか、あの人がいいとか悪いとかの選択の自由
や余地は全くなくなります。
若い生身の男女のことですから、もちろん恋愛感情まで禁じ
ることは不可能ですが、それはそれこれはこれというわけ
で、結婚となると全く別次元の問題となったわけです。
貧しい家庭に育った女性は、学校にも行けず（文盲の人が結
構多かったようです）早々と家計を助けるため、あるいは口
減らしのために都会に働きに行ったり、女中奉公をしたりと
かいう人が多かったのでまた違った結婚の形があったかもし
れませんが、中上流階級の女性は親のいいなりになるしかあ
りませんでした。
女学校なども教養を身につけるためというより、花嫁修業の
一つのようなものでした。授業参観は適齢期の男子を持つ父
兄の嫁探しの場といった観を呈していました。
また女学生たちにも卒業して経済的に自立できるような社会
状況ではなかったので、結婚とは就職そのものだったのです。
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