同じビジネスでも”儲ける”と”儲かる”は、たった一
字違いなのに、天と地ほどの開きがある。
日本語の送り仮名というのはファンタジック!
さてある日のこと、成金で豪邸を建てたさる著名人に、
ショーバイの秘訣を訊ねたら、こういうご名答が返っ
てきた。
「あんたらビンボー人は(余計なお世話だちゅうの)
金持ちから儲けようと思ってるだろう。だからいつ
までもピーピーしとるんだ。カネはビンボー人から儲
けるもんだ」。
つまりこれが”儲ける”ということなのかな?
勝つか負けるかの競争原理だから、勝って笑う人と
負けて泣く人が出てきて当たり前。
勝つのも負けるのも自由な社会なるがゆえの結末。
そうして金持ちはどんどん金持ちになってゆき、ビン
ボー人はどんどんビンボーになっていき、やがて住む
家も食べるものもなくなる。
そりゃね、赤子の手をひねるくらいなら誰でもできる
と僕は負け惜しみかもしれないけど思うんだ。
その誰でもできることを平気でやるのが”儲ける”とい
うことだと成金さんは言ってたわけだ。
こうして世の中、ビンボー人になるくらいなら死んだ
方がマシだというやつがこれをヤル。では、
赤子の手をひねるくらいなら死んだ方がマシだという
やつがどうなるかというと、この僕みたいになるとい
うわけか?
`
まあしかしだ、僕に言わせれば、、、、
そもそもが産業革命なるものが、この儲けるよりもっ
と悪いこと(海賊)をやって、シコタマ溜め込んだも
のを原始蓄積にして起こったらしい。
次にはシコシコと土地を耕すより、羊を飼って紡績をや
った方が儲かるということで、小作人を追い出した。
追い出された小作人はどうしたかというと、アメリカ大
陸に渡った。
アメリカ大陸に渡った小作人はどうしたかというと、
敷かれたばかりの汽車に乗って大挙ネイティブの暮らす
西部へ西部へと向かった。
そしてそこでやったことというと、所有の観念のないネ
イテイブの土地に一方的に所有権を持ち込んで合法的?
に自分のものにした。
弓矢しか持たないネイテイブが当然のように文句を言う
と、騎兵隊を指し向けてライフルをぶっ放して黙らせた。
そういう昔話の上に乗っかってできているのが現代の経
済なるものの紛れもない正体である、なんて考えている
んだけど、オカシイかな?
`
赤子の手をひねるくらいなら死んだ方がマシだというや
つは娑婆で細々とショーバイをやって身を立てている。
そのショーバイのココロは無論、”儲ける”ではない。
では何かといえば、(あえて言えばだが)”儲かる”という
やり方。
初老になった僕の父母が五十二年前に結婚相談所なるもの
をおっぱじめ、これが私の天職だとほざいて、死ぬまで続
けた理由は何かといえば、このショーバイが”儲ける”では
なくて、どうやら”儲かる”の方だったからに違いないと
思っている。
お駄賃は最小限度いただくが、必要以上にはいただかない。
これが、”儲かる”ショーバイの第一原則。
第二原則は、お客さんに、ショーバイすることでなぜか喜
んでいただく。
第三原則は、お客さんが喜ぶと、こっちも嬉しくなる。
どっちもどっちでホッコリしてて、かげで舌打ちなんかは
しない。
”儲ける”ショーバイではエチケットとしてお客さんに有難う
ございましたというが、
”儲かる”ショーバイでは不思議なことにお客さんの方が有
難うございましたと頭を下げたりする。
こっちだって恐縮至極な話だから、いえいえこちらこそ有
難うございましたと米つきバッタのように頭を下げる。
どっちもニコニコしてる不思議な光景が、どうも”儲かる”
ショーバイということらしい。
そうやって今まで千組以上の初々しいカップルと私たちの
間で微笑ましい限りの光景が繰り返されてきたわけだ。
そしてその人たちが、自分の友人知人を紹介したり、二十
何年後に適齢期になった自分の子供を連れてきたり、、。
ハッピーはハッピーを招き、次から次へと生産されてゆく
って感じ。
これが”儲かる”ショーバイの醍醐味と言ったところかなあ。
確かに儲かって仕方がないショーバイってのもたまにはる。
でも”儲かる”ショーバイしか知らない人は、そんな大金が
懐に入ってくると、何か悪いことをしているような気分に
なるからもちろん贅沢はしない。
贅沢はしないばかりか、儲けさせてくれた人たちに何か
恩返しなけりゃ悪いきもちになる。
この恩返しが”儲かる”ショーバイの第四原則にして最終の
原則。
`
むつみ会結婚相談所は儲かって仕方がないショーバイじゃ
なかったから、母と妻とで結婚相談を続けていくために、
やむなく僕だけ他のショーバイもやった。
こっちのショーバイは本当にたまたまだが、儲かって
「仕方がない」までじゃないが、実入りが良かった。
おかげさまでというしかない。
でも”儲ける”じゃなかったと思う。”儲かる”スピリットに
慣れてしまったら、もう”儲ける”根性になんてなれっこな
いみたい。
江戸時代の近江商人の心得は「三方良し」だったらしいが、
これは、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」
の三つの「良し」。
売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるの
がよい商売であるということ。
具体的な内容の説明は、もうとっくの昔にやめてしまった
ので差し控えさせてもらうが、そんな感じだったかな。
お給料も従業員さんの方が幾分よかったし、アルバイトさ
んもずいぶん居心地がよかったらしい。
ってなことになると、お店の雰囲気もサイコーってなこと
になるから、お客さんもどこからともなく集まってくる。
そこで色気を出せば、お家の二軒程度は建っただろうが、
店仕舞いした時には、手元に三百万円のキャッシュが残
っただけだった。
`
そもそもがそんな”儲かる”ショーバイのあり方が日本と
いう民族の伝統だったらしい。老舗というのは日本だけ
にしかない。
他の国の会社は大抵百年も経たずに消えて無くなる。
世界最古の会社は大阪の金剛組(四天王寺のそばにある)
という工匠の集団で、なんと飛鳥時代から千四百年もの
サバイバルを生き残った。
苛烈な競争に勝ち残ったというより、生き残るべくして
生き残った会社である。
これはもう世界の奇跡というしかない、と英国の「エコ
ノミスト」という雑誌に書いてある。
そんな奇跡という現象は他の分野でも起こっているが、
その特徴は、というと、『循環』ではないかと思う。
直線でなくて、まあるい円環の循環だったから、ヒトは
百万年も生きてこれたし、自然は何億年も存在し続けて
いる。
むつみ会結婚相談所が52年間続いてきたのも結局はそう
いうことなのかもしれないと思っている。
僕たち夫婦は年もとったし、あと何年続けられるかはわ
からないが、今までのスピリットがバトンタッチされてる
間は大丈夫かなと思っています。
それから、、、、、
結婚というのはゴールでなく、そこから長い長い歳月をか
けて家族の歴史を築いてゆく出発点です。
仲のいいご夫婦の子どもさんたちもまた、大抵は仲のいい
ご夫婦となり素敵な家庭を築いてゆくものだと思います。
いいものは地球の自転のように巡り巡っていつまでも
続いていくものだなあ、というのは、無数のご夫婦を
見つめ続けてきた僕たちの偽らざる実感です。
どうぞ皆様もほっこりとした味わいに溢れた家庭を作って
ください。それが僕たちの何よりの願いです。
- ホーム
- 熊本の結婚相談所むつみ会|ブログ一覧
- 婚活コラム
- 熊本の結婚相談の哲学