「それらの夏の日々、、、しばらく私たちは肩に手をかけ
合ったまま、遥か彼方の、縁だけ茜(あかね)色を帯びた
入道雲のむくむくした塊に覆われている地平線の方を眺め
やっていたものだった。ようやく暮れようとしかけている
その地平線から、反対に何物かが生まれてきつつあるかの
ように、、、」
(堀辰雄・風立ちぬ)
夏休みもあと二週間足らず、ハルくんとミーちゃんが二人
肩を並べて商店街にママのお使いに行きました。
ベーコンとウインナーとそれから、、、自分でメモした紙
っきれをポッケに突っ込んで、、、ちょっと心細さそうで
したけど元気に出かけました。
年々歳々ジイジの出番が少なってきそうな気もいたします。
月並みですが、寂しいような嬉しいような感じです。
ようやく暮れようとしかけている地平線から何物かが生ま
れてきつつあるかのように、ですか。
ちゃんとお買い物できたかな?ちょっくら覗いてこようか
な、レジもセルフになってるし。いやいや、やめとこう、
ダイジョーブ。
風立ちぬ、いざ生きめやも、、、この”生きめやも”文法的
には生きることができないという現代語訳になるのでしょ
うが、作者は明らかに、さあ、生きようと意味合いで使っ
ています。
日が暮れたら確かに一日の終わりですが、むろん人生の終
わりではありません。人生は日没と夜明けの絶え間ない繰
り返しですよね。不運と幸運の繰り返し、ワクワクするこ
としょげ返ることの繰り返しです。あなたの今までの人生
を振り返るといかがですか?
風が吹けば、あなたの頭上にどこまでも広がっている青空
に浮かんでいる雲が流れて、そこに新しい風景が忽然とし
て現れます。
まるで風っていうのは、男女の出会いのようにも思えます。
一人っきりで眺める風景と、愛する人と肩を並べて、たと
えばどこかの丘の上で眺める風景は同じもので同じものでは
ありません。
あなたが子どものころみた風景と、思春期の頃に見たそれ、
そして今あなたが眺めているそれもまた異なるものだと思い
ます。それって、考えてみればみるほど素敵なことだと思い
ませんか?
私は(本当に)いつのまにやら年齢を重ね、七十の声を聞き
今年の九月で七十四歳になります。亡くなった母が目に見え
て衰えてきた姿が思わず知らず彷彿としてきます。
妻と出会い、夫婦になってからとっくに四十年という歳月が
音もなく過ぎ去っていきました。ほんとに何もかもが吹く風
のように過ぎ去っていきます。
もし妻との出会いがなかったら自分の人生はどうなっていた
のだろうと時折思ったりします。壮年になった二人の息子も
その二人の息子の素敵なお嫁さんも、それから小学校一年生
と三年生になった孫もいません。そんなことに思いを馳せる
と、私たち夫婦と息子夫婦と孫二人で同じ屋根の下で暮らし
ている日々がなんだか束の間の夢のようにも思えてきます。
小学三年の孫のハルくんがまだ三歳くらいだった時の(プチ)
家族旅行を思い出します。
国道57号線滝室峠をつづらおりに登りきると、やがて大分
との県境がすぐそばです。道筋にポツンと波野の道の駅が
あります。四囲は見渡すまでもなく一面蕎麦の白い花が咲き
流れています。隣接して小さな蕎麦の製粉場もあります。
ここまで足を伸ばすと、お昼はここで、そして必ずざるそば。
私は例によって注文し、妻と向かい合わせでテーブル越しに
座りました。畳の上の座布団に胡坐をかきました。
大きな伸びをひとつくれてやると、目線がふわりと浮きまし
た。その先つに磨き上げられたスクリーンのような大きな窓
がありました。
窓外には瑞々しいみどり葉が繁茂し、バージンブルーの空か
ら惜しみなく、光の粒子が生まれ、そこらじゅうに弾けてい
ました。
そのとき一瞬、移りゆく季節のはざまで、時の流れがハタと
とまったような気がしたのです。突然なにかしらおごそかな
歓喜で満たされて、ぼくは茫然として自分を失いました。個
体が、宇宙の中に消えてしまったような不可思議な感覚。
あれは一体何だったのでしょうか?
今ここに生きているのが現(うつつ)なのか夢幻なのか、
境界がふっと消えてなくなったような感覚。
人の心というのものはわかっているつもりで、本当のところ
はまるっきりわかっていないのかもしれません。風のように
生まれ、また風のように消えていくのかもしれませんね。
それもこれも今までに嫌になるくらい、光と影の中を行った
り来たりして、迷い迷いして生きてきたせいなのかもしれま
せん。
そうやって結局はまた母の胎内に帰っていくのかもし
れません。そこは小さな宇宙のようなものでしょうから。
豊かで、しかし無垢なものがそこには満ち満ちているような
気がします。
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を求めて数え切れなくらいの方が訪れて、そして巣立ってい
かれました。
その人たちの一人一人が、そういうふうに思えば、私たちに
は計り知れないかけがえのない自分の人生を歩いておられる
ような気がしてなりません。
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