「ねえ、ジイジ、ふるさとって町はどこにるの?」
「え〜と、それはねえ、(こまったなあ)、ミーちゃんが、
そこで生まれて、大きくなったところかなあ。そして思い
出がいっぱいつまっているところ、、かなあ」
「じゃあ、宝箱のことだね。ミーちゃんの宝箱には、ママ
がいて、パパがいて、ニーニーがいて、ジイジやバアバがい
るもんね」
「天草とか京都とかにもいるしねえ。おウチに泊まったり、
泊まりにいったりする友だちもいっぱいいるし、宝箱に
入れるのかなあ。江津湖の動植物園も、お相撲さんの公園
も、忘れないようにね。」
「うん、ミーちゃんがこれから大人になっても、ときどき
あけてみたくなる宝箱だもんね。それでね、ジイジの宝箱に
にはどんなのが入ってるのかな?やっぱり時々開けてみた
くなる?」
「ジイジのたからばこにはねえ、天国に行った人たちがいっ
ぱいいるし、ほかにもたくさんたくさん入ってるかな」
「ほかにもって、どんな、、、?」
「稲刈りがおわったはたけとか、小川とか、森とか神社のま
えの駄菓子屋(だがしや)さんとか、ほかにもいっぱい」
「遊園地ちとか温泉プールは?」
「汽車にのって、とおくの大きな町にいけばあったけどね」
「つまんないね」
「一度だけつれて行ってもらったことがあるけど、楽しかっ
たなあ」
「また行きたいっておもわなかったの?」
「そりゃね、おもったような気がするけど、遊園地に行かな
くても毎日が楽しかったような気がする。お外に出るとぜん
ぶが遊園地みたいなものかな」
「ええ〜っ凄すぎ!お外にメリーゴーラウンドとか、観覧車
とかもあったんだ」
「まさかねえ。でも、オバケ屋敷ならあったような気がす
るなあ」
「えっ、ホントにオバケがでてくるの」
「でてくるぞ〜、でてくるぞ〜、っていいながら、なかなか
でてこないオバケがいたねえ」
「じゃあ、こわくないでしょ」
「ううん、でてこないからこわいのがオバケで、でてきた
らきっとそんなにこわくないと思うな。ひょっとしたらトモ
ダチになれたりして、、、」
「うひゃあ〜、猫さんみたいに、かわゆいトモダチだったら
いいけどね。ねえ、ジイジ、ユーレイって足がないって聞いた
んだけどホントかな?」
「昔と違って今はみんなズボン履いてるから足があるのかな
いのか、さっぱりわからないな。」
「でも女の人はスカートでしょ?」
「うん、でも想像してごらん、スカートの下から足が出てな
いユーレイってオシャレじゃないじゃん。でも女の人はカッ
コ悪いのって嫌いだから、すらりとした作り物の足をつけて
出てきたりして。」
「あっそれ、義足っていうんでしょ。保育園で習ったもん。
それできっとファッションショーのモデルさんみたいにオシ
ャレだから、ポーズつけて、お歌と一緒に。」
「楽しそう。でもライトはなしだね。ライトつけたら消えち
ゃうし」
「それでジイジね、どんなときに、でてくるぞ〜ってなるの
かな?」
「おぼえてるのはお風呂に一人で入るときだね」
「え〜、お風呂にひとりで入ってたの。どうして?」
「お風呂は外にあったし、ひとりしか入れなかったから」
「外にって、夜は暗いんでしょう?」
「うん、電灯もないし、真っ暗け。おまけにすぐそばが森に
なってるの。それでね、森の中がゴソゴソしたり、いろんな
鳴き声がきこえてきたり」
「きゃ〜こわいよ〜。それでもオバケがでてこないの?」
「でてきそうで、でてこないから、怖くてしかたないんだよ
ね。あんなオバケかな、こんなオバケかなって想像しちゃうん
だよね」
「暗いいのってコワ〜い。おウチのお風呂でもデンキが消え
ると、おゆのなかからオバケがでてきそうだもん。でもパパ
やママと夜のお散歩にいくときは怖くないよ」
「懐中電灯がなくても歩けるもんね」
「ジイジが子どものころは歩けなかったの?」
「お月さまがまんまるだといいけどね、そうじゃないと、ぶ
つかったりコケたりしちゃうんだ。でも、懐中電灯とかなか
ったから、提灯で足元を照らしながら歩くんだよ」
(その2へ続く)
