”そよ風、墓場、ダルシマー、ほほえみ、
白い紙、いつかこの世から消えうせる自分”
恋多き老詩人はこう歌った・・・・・。
晴れ渡った青い空、その下にひろがる平和な風景、
みどりなす森、きらきら光る小川のせせらぎ、
どこからか聞こえてくる若い人たちの歓声。
しかしその背後には、忍び寄る老いと死、
仄かな白い影、
あとには、語りえない、人生の長い余白がある。
「モーツアルトを聴く人」の冒頭で、谷川俊太郎は
偽らざる今の心境を語った。
(ダルシマーとは中近東に伝わる鍵盤楽器)
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つらくはない、かなしくもない、澄み切って美しい。
若いころは、はるか対岸に老いがあるのだと思って
いた。その通りなのかもしれない。
しかしその老境にさしかかると、不思議なことに死
という名の彼岸がほんのすぐそばにみえてしまうのだ。
思えばそんなひとつひとつの情景は、ひとつながり
になっていて、長い長い物語で、切り離そうとしても
できない、知らん顔したくてもできない、やっかい
な存在で、しかもこれから先もどこまでも続きそう
なのだ。
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過去や未来は、遠いと思えばどこまでも遠く、
近いと思えば手に届くところにある。
だから、時間は誰のものでもなく、自分だけのもの
なのだ。、、、遠い眼差し。
そんなことに想いをはせる、春のそよ風とひだまり
のひととき、皆さん御機嫌よう。
ハル君、ミーちゃん、今日はジイジとバアバがお迎え
の日、公園で鬼ごっこしようかな。