「物書きになりたかったが、食って学校に通うた
めには、なんでもやらなくてはならなかった。
(店員、外交員、港湾労働者、印刷工、電気溶接工、
組合書記など転々としたらしい。)
そういう時代だったんだ、
と簡単にかたづけてもらいたくはない。
それが生きることであり、学ぶことであったのだ。
人と金という泥の海で、のたうちまわって、少しづつ
人間と社会を知っていく。
人のこわさも優しさも学んでいく。
人生はそうしてなってゆくものだろう。カッコいい職業
にあこがれる、子どもや若者に、痛ましさを覚える。
かりにそれが彼らの夢だとしても、夢をかなえるまでに、
徹底的に自分を痛めつける勇気を持ってほしい
・・・故、灰谷健次郎
光の中で光は見えない
暗闇の中で光は見える
本当の光はね
「兎の眼」はそうやって
できたのだろう。
