こんなヘヴィな表現の仕方があるんだ。
昭和二十年代ニッポンの、有象無象の凄まじくも清々
しい人間ドラマだ。
ドロドロの人間の業とか性をありのままに描きながら、
結局爽やかなラストに持っていく。
暗と明、醜と美、憎と愛・・・。
邦画のベスト3に上げたい成瀬監督の傑作。
あの時代の生臭い匂いにいささか身に覚えがあるもの
として、「三丁目の夕日」に感じた違和感とか嘘っぽ
さの意味が分かる。
今時の作者には遠く及ばない問題の切り口。
時代が人間を作り、物語を、深い余韻を綴るのだろう。
時代が薄っぺらになるとそれなりの作品しか生まない。
花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき。
この歌の持つ情感の切なさと美しさにもしも同調できな
い人生があるとするなら、それは寂しすぎる生涯である。
若き日の高峰秀子と香川京子の何とチャーミングなこと。

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