朽葉いろに染まって
川は流れてゆく
雪融け水がぬるむころ
川は流れてゆく
花びらのとりどりの
いろに染まって。
空と雲がおりなす
季節を乗せて
ひたすらに川は流れる。
岸辺には旅人たちの足跡が続く
ときおり彼らは歩をとどめ
眼差しを投げかける。
そして背負った罪の余韻を
ほろにがく思い浮かべる。
懐かしい歌を奏でるように
川は流れてゆく
いずこへ・・・下へ
下るということ以外
川は知らない
知ろうともしない。
かなたに待っているのは
涯てしなく青い海原
そこにはすべてがあり
そしてすべてがありえない
万物のひとかけらにすぎない
ものたちが粒子となって
泡立ちながら海へと還る。
幾筋ものながれとなって
やがていのちはその故郷に
たどりつくだろう。
耳朶にはくりかえす潮騒の
音色がひびいている。

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