人間無事に生まれて
無事に死ぬ
まあなんと薄っぺらい”感動”
が闊歩している娑婆なんだろう!!
と思っていたら、
このセリフのひと言がいきなりグッときた。
「人間無事に生まれて、無事に死ぬ。
人生それだけで一大事なんだ。
あとはオマケだ。出世もゼニもいらねえ」。
わけあってまだ幼い子どもを残して、二十年前に家出
した親父が再会した息子にそう吐き出すのだ。
このうんざりするようなドラマレスの時代に、
こんなドラマレスな言葉が、なぜ胸に突き刺さる。
七十一年の歳月をスクランブルに通り過ぎていった
あの顔とかこの顔とか、
出会いとか別れとか、
出発とか終わりとか
愛とか憎しみとか
孤独とかそうでないとか
とるにたらない幸運とか不運とか
語るにおちたプライドとか夢とか
どん底とか失望とか自己嫌悪とか・・・
とかが浮かんでは消える。
このぼくにあったように、
あなたにだってあったはずだ。

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