産業道路わきの5m道路を自動車で通りかかると、
若い男女のカップルが、リカーショップの物陰を
一心にみつめています。
なにかしら尋常でない空気感が運転席に伝わって
きました。
男女の頭上の辺りがざわついています。
見ると、2羽の雀がさかんに啼きながら、こまの
ように旋回しています。
道端に停めた車から降りて、覗き込むと、そこには、
どこか傷ついたらしい一羽の雀が溝の中でバタつい
ていました。
視線をずらすと、そこからほんの2メートル足ら
ずのところに子猫がかまえていて、今にも襲いかか
ろうとしています。一触即発です!
カップルは、落ち着かなげで、でもすぐどちらか
らともなく合図のように視線を交わすと、
無言で行動に出ました。さしあたり子猫を追い払い
ます。そして傷ついた雀を女性のほうが手に取り、
ハンカチにつつみました。
僕は何かホッとして車の運転席に戻りました。
そのあと雀がどうなったかは説明するまでもない
でしょう。
あれから十年以上も経ちましたが、つい思い巡らし
ている自分に気がつきます。
あのカップルは今頃どこで何をしているのかなあ?

この記事へのコメントはありません。